スズメ
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スズメ | ||||||||||||||||||||||||
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スズメ Passer montanus | ||||||||||||||||||||||||
保全状態評価[1] | ||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Passer montanus (Linnaeus, 1758) | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
スズメ | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Tree Sparrow |
スズメ(雀、すずめ・学名 Passer montanus )は、スズメ目・スズメ科[2]に分類される鳥類の一種。人家の近くに生息する小鳥である。
目次 |
特徴
全長は約14~15cmほどで、雌雄同色。成鳥は頭部は赤茶色、背中は褐色で黒斑があり、頬から腹にかけては白色をしている。くちばしの色は黒色であるが、幼鳥の時は淡黄色。頬にある大きな黒い斑点は遠くからも目立ち、これが他の近似種との区別点でもある。幼鳥は全体に色が淡く、頬の黒斑や喉の黒線がはっきりしない。
くちばしは短くて太い円錐形で、小さな餌をついばむために都合がよい構造となっている。地上では両足で飛び跳ねてすばやく移動する。鳴き声は一般的に「ちゅんちゅん」と表される。
食性
食性は雑食性で、イネ科を中心とした植物の種子や虫を食べる。また、都市部に生息するスズメはサクラの花、パン屑・菓子屑や生ゴミまで、何でも食料にする。このような雑食性が、都市部に適応した理由の一つと考えられている。春先には害虫となる虫を食べる反面、穀物を食害する。
緊急な保護を目的などとして飼育する場合、ヒナ鳥は、パンをぬるま湯で柔らかくしたものや植物性の練り餌[3]で飼育が可能である。
分布(駆除・移入)
ユーラシア大陸を中心に世界に広く分布する。草原、農耕地から都市部まで、およそ人の居住域付近ではごく普通に見られ、人間社会に強く密着した鳥である。人間が住み始めた集落にはスズメも居着き、逆に人間が離れ集落が無人になるとスズメも見られなくなるという傾向があり、そのため山野で人里から離れるとスズメは生息しない。
中国においては1955年当時、大躍進政策の一環として行われた「四害追放運動」において、ネズミ、ハエ、カとともにスズメを撲滅させるという計画が実施され、大規模な人海戦術で、年に11億羽以上も捕獲したと言われている。しかしその結果、農作物の害虫が増え、全国的に凶作となった。このため1960年にはスズメがその対象から外された[4]。
アメリカ合衆国では、19世紀半ばにミズーリ州セントルイス市に移入された。広範囲に分布するイエスズメとは対照的に、現在では同市と隣接するイリノイ州の一部にのみ生息し、スズメの分布域は広がっていない。
日本での分布域および個体数の変化
日本のほぼ全域に見られる。ただし、小笠原諸島では見られず、青ヶ島が伊豆諸島での最南端の分布域である。また太平洋の絶海の孤島である南大東島、北大東島にはスズメが多数生息しており、海を渡ってきた少数の個体から、温暖な気候により繁殖したものと考えられている。
人間になじみ深い野鳥であるが、稲の害鳥とされてきた経緯もあり、農家による限定的なスズメの駆除[5]は認められており、狩猟対象鳥類28種のひとつに指定されている。そのため警戒心は強いが、都心の日比谷公園などでは人目につくところに営巣したり、人が餌付けしたりする光景も見られる。
2008年における日本本土のスズメの成鳥個体数は、約1800万羽と推定されていた。ただしこの推定には誤差があるため、数千万羽の桁と考えるのが妥当と思われる[6]。
日本におけるスズメの個体数は減少傾向にあるといわれている。ある推定によると、2007年のスズメの個体数は1990年ごろにくらべて少なくとも半減、減少率を高く見積もると1/5になったと考えられている[7]。しかし減少原因についてはよくわかっておらず、気密性の高い住宅の普及によって営巣場所が減少したこと[8]、農村部でコンバインの普及によって落ちモミが減少しそれによる冬季の餌が不足したこと[9]などが可能性として挙げられているにすぎない。また農村部と比べて都市部において巣立っているヒナの数が少ない傾向が見られており、都市化に伴う餌不足も、減少原因の候補として挙げられている[10]。このように減少はしているが絶対的な個体数はまだ多く、現在の減少スピードであれば数十年後に絶滅してしまうことはないといわれている[11]。
繁殖・営巣・群れ
屋根瓦の下に作られたスズメの巣および卵 木造家屋の屋根瓦の狭い空間に作られた直径5-6cm、深さ4cm程度の椀状に凹んだ巣。屋根の葺き替えの際に見つかった。卵の長径は1.5cm、短径は1cm程度で色は薄い茶色がかった灰色。巣の材質は主に枯草。瓦1枚の寸法は約30cm。 |
スズメは、非繁殖期には若鳥を中心とした群れを作って生活するが、春の繁殖期にはつがいで生活する。枯れ草や繊維状のもので巣を作るので、この時期には枯れ草などをくわえて飛ぶ様が見られる。巣に人間などの外敵が近づくと「ヂヂヂヂヂヂ」と短く高い声で警告されるが、この場合、卵の有無は問わず、ある程度完成した巣であると警告を行うとされる。
営巣場所
巣は地面近くには作らず、人の身長よりも高い位置に作ることが多い。見た目には無理と思われるような隙間でも擦り抜けられるので、スズメの巣そのものは普段目に付かないが、巣の真下付近には枯草などの巣材の残骸が散らかっていることが多いので、それをたよりに見つけ出すことができる。
人間の生活に密着しているので多くは瓦の下や雨樋と屋根のすき間などに、この他にも屋根の軒の隙間や人の住んでいない家や集合住宅の換気扇カバーの中や煙突、プレハブの鉄骨の隙間や穴など直径 3cm または 2.5cm × 4cm ほどの隙間さえあれば入り込んで営巣することがある。人間が設置した巣箱も利用するが、この際は出入口の位置まで巣材を積み上げる習性がある。
自然にあるもので営巣する場合、木の洞(きのうろ)やツバメなど他の鳥の古巣を利用することもあり、造巣中のコシアカツバメの巣を奪って使った観察記録もある。まれにスズメバチの古巣を利用した例も報告[12]されている。また、オオタカなど猛禽類の巣の下部に営巣することもあり、これは猛禽類の近くに外敵が来ないことを利用していると考えられる。
スズメの集団行動
スズメは喉元の黒い部分が加齢と共に広がっていく。頬の黒い部分も喉の黒い部分同様に多少広がるようで、階級章とも年功序列の目印とも言えるこの模様により、エサを食べる順番や見張りなどの役割分担がスムーズに行なわれるようだ[要出典]。写真は公園の松の木の枝の窪みにエサを撒いた写真で、周りより高い位置に立って周囲を警戒している係。そのスズメの陰に頭だけ見えているスズメも周囲を監視している。左の二羽は後から来たスズメで、自分が割り込める場所を確認している。下でエサを啄ばんでいるスズメは見張り役がいるので安心して食事に専念できるのである。時折、後から来たスズメが食事中のスズメを追い払う様子も見られるが、階級の高い者が階級の低い者を追い払う教育のようなものと思われる。ちなみに、黒い部分が同程度の大きさだと時折喧嘩になることもあるが長くは続かない。
Sibley分類体系上の位置
シブリー・アールキスト鳥類分類 |
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鳥類 Aves スズメ目 Passeriformes スズメ亜目 Passeri スズメ小目 Passerida スズメ上科 Passeroidea スズメ科 Passeridae スズメ亜科 Passerinae |
語彙・語句
語源・表記・意味
スズメの語源については、「スズ」は鳴き声を、「メ」はカモメやツバメのように群れをなすことを指している[4]。
- 日本語ではスズメを漢字で「雀」と書き、雀色という色がある。少ない金額を「雀の涙ほど」や小さい弓を「雀小弓」といって、雀程度という意味で少ないことや小さいことを形容する。
- 中文(中国語)では「麻雀」と表記する。麻雀(スズメ)は中国の古典では小さな鳥の総称のように用いられた。
- 英語では「 Sparrow 」となる。ただし、Sparrow はスズメ科に分類される鳥の総称として用いられる。
スズメという名のつく別種
- American sparrow はスズメ科ではなくホオジロ科に属するあるグループを指す。 American sparrow は特定の種類を指さず、多くの種が含まれる。
- 中文ではスズメ科 (Passeridae) は「文鳥科」であり、中文の「雀科」はアトリ科 (Fringillidae) であったりと、日本語の文鳥や雀と意味合いが違っている。
- おもにペットとして飼われるベニスズメは、カエデチョウの仲間である。日本には元々いなかったが外来種として一部の地域で野生化している。
- 昆虫ではガの仲間「スズメガ(鳥類とは別にベニスズメとも呼称)」の標準和名は「ガ」を省略するため「-スズメ」となる。フクラスズメというガもいるが、これはスズメガ科ではなくヤガ科である。他にスズメバチなどがあり、スズメという呼称が付いたガと同様に、他のガやハチより大きいという形容からスズメが冠されている。
- 植物では、スズメノテッポウ、スズメノエンドウなどがあり、は小さいという形容からスズメが冠されている。
慣用句
- 雀の涙 - 「小さい」「ごくわずか」などの形容として用いられる。
- 雀百まで踊り忘れず - 幼い頃からの習慣は容易に変わらないことのたとえ。
- 雀の巣も構うに溜まる - 量が僅かでも積もり積もれば大きくなることのたとえ(「塵も積もれば山となる」と同義)。
- 雀の踊り足 - 筆跡の拙さの形容。
- 雀の千声鶴の一声 - 雀のようにつまらない千の声よりも、鶴のような優れた物の一声が勝っている事のたとえ。
環境下における食物連鎖と人との関わり
都市部に限らず郊外でも人間の生活圏に適応した鳥であるが、益鳥と害鳥の両面がその食性からいわれ、スズメを追い払う行為と神聖視や親しみを持って描かれてきた。
スズメは鳥獣保護法で狩猟鳥に指定されており、焼き鳥等に食用もされてきたが、現在では主に、中国、韓国から食用のスズメが輸入されている。捕獲は夜間の寝床になっている藪の周囲に霞網を張り、大きな音を立てたり藪を棒などで叩いて飛び出させて網に掛ける。
都市部では、おもに猫などが捕食者としてなっており、食物連鎖のバランスが取られているが、郊外においては、春先は苗の害虫を食べる益鳥としてあつかわれ、秋には稲の籾米(もみごめ)を食害する害鳥となり、古来からスズメを追い払うため、「スズメ追い」「鳥追い」などという風習が各地にあり、それに関する民謡、民話なども伝えられている。かかしもスズメ追いの道具として作られたものである。
中国の大躍進政策では、害鳥として大量のスズメを駆除した結果、害虫が大繁殖して飢饉を招いたことがある。
神聖視
日本においては、食用や駆除の対象にもなってきたが、神聖視されてきた歴史もある。
- 秋には追い払われる一方で、「神の使い」として慕われてもきた歴史もあり、京都伏見稲荷では門前の名物になっている。古くは蘇我馬子を雀に喩えたり、稀に見られる突然変異の羽毛の色素が無い「白スズメ」を古来より瑞鳥とし、聖武天皇や桓武天皇などが白スズメの献上を受けたという記録が残っている。
- 縁物においては、雀に対し竹が添えられ縁起物となっている。
文化
物語
民話
映画
- こむぎいろの天使 雀と少年 - 少年がスズメを飼育する内容の映画。
童謡
- 雀 (歌)(すずめ) - 作詞:佐々木信綱・作曲:滝廉太郎
- 雀のお宿(すずめのおやど) - 作詞:北原白秋・作曲:弘田龍太郎・制作:滝野細道
- 雀の学校(すずめのがっこう) - 作詞:清水かつら・作曲:弘田龍太郎
芸能
その他
関連項目
参考文献
- Roger Tory Peterson and Virginia Marie Peterson. A Field Guide to the Birds of Eastern and Central North America, 5th Edition. Houghton Mifflin, New York, 2002.
脚注
- ^ Passer montanus (Species Factsheet by BirdLife International)
- ^ ハタオリドリ科とする分類もある。
- ^ 釣具店で売っているフナや鯉釣り用の練り餌が安価で簡便である。
- ^ a b 唐沢孝一 『スズメのお宿は街のなか』 中央公論社〈中公文庫〉、1989年、234頁。
- ^ 捕獲したスズメは焼き鳥屋などで食用にされる
- ^ 三上修(2008)日本にスズメは何羽いるのか? Bird Research 4: A19-A29
- ^ 三上修(2009)日本におけるスズメの個体数減少の実態.日本鳥学会 58(2): 161-170
- ^ スズメの個体数推定、およびスズメの個体数減少に関する情報
- ^ 飯田繁(2004) 九州における狩猟鳥獣の変化に関する研究.九州森林研究57:34–38.
- ^ 三上修(2009)スズメはなぜ減少しているのか? 都市部における幼鳥個体数の少なさからの考察 Bird Research 5: A19-A29
- ^ 三上修(2010) スズメを日本版レッドリストに掲載すべきか否か. 生物科学 61(2):108-116
- ^ 広島県にて発見された事例がある。
写真など
Suzume oya 2008.jpg 成鳥の顔 | Suzume ko 2008.jpg 幼鳥の顔 | Suzume kuchi 2008.jpg 幼鳥の口の中 | Suzume-sparrow-outside2009.ogv 動画 |
外部リンク
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