ノギス
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ノギス(独: Nonius、英: vernier calipers, slide calipers)は、長さを精密に測定する道具である。
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概要
従来は機械的に測定するノギスが使用されていたが、現在ではデジタルノギスがその利便性により普及している。
- (初期の)ノギス
- ダイヤルノギス
- デジタルノギス
の3種類について説明する。
各部の名称
- ジョウ(外側測定面、外側用ジョウ)
- クチバシ(内側測定面、内側用ジョウ)
- デプスバー
- 本尺目盛(cm)
- 本尺目盛(inch)
- 副尺目盛(バーニヤ目盛、cm)
- 副尺目盛(バーニヤ目盛、inch)
- 指かけ
ジョウで物の外側の長さを測定できるほか、クチバシで内径、デプスバーで深さ、そして段差測定などもできる。
歴史
1631年、フランスの数学者であるピエール・ヴェルニエ(1580年–1637年)によって現在の形で発明された。いくつかの言語でnoniusと呼ばれる。同様に英語では18世紀末までnoniusと呼ばれた。[1] Noniusは,アストロラーベで精密な測定をするために,1542年にバーニアの先駆けとなった関連はあるが別の方式を発明した,ポルトガルの天文学者で数学者であるペドロ・ヌネシュ (1502年–1578年)のラテン名である。[1] [2]他に古代中国や地中海文明で同様の計測装置が発明されていたとする説もある。日本語の「ノギス」はドイツ語の「der Nonius」の訛。
ノギスの構造・測定原理
基本的には測定対象を挟むためのスライド部分がついた定規と考えることができる。しかし主尺の目盛を細かくするのには限度があるため、多くのノギスは読み取り精度向上のため副尺(バーニヤ目盛)を持つ。副尺は主尺の4/5・9/10・19/20の間隔の目盛が主に用いられる。
これは細かい目盛を直接読むことを巧妙に、人間が高い精度で可能な直線のずれの認識に置き換えることで成り立っている。例えば、主尺が1mm幅の目盛のときに副尺が0.9mm幅ならば0.01mm0.1mm単位、0.95mm幅ならば0.005mm0.05mm単位で測定できることになる。
用法
右図を用いて説明する。右図のノギスは、精度0.1mm。本尺は1mm幅で、副尺は0.9mm幅で刻まれている。
- ジョウ(副尺)をスライドさせて測定物にあてる。
- ジョウの0の点と本尺目盛から、1mm(0.1cm)以下を切り捨てた値を確定する(右図では2.4cm)。
- 本尺目盛と副尺目盛が一直線上にある点を見つける(右図では副尺の7の目盛)。
- 副尺の「1」は0.1mm(0.01cm)を示している。
- したがって「2.4cm + (7 × 0.01cm) = 2.47cm」であり、測定物の径は2.47cmであることがわかる。
このように、本尺と副尺の1目盛りの差を利用して測定することで、本尺の目盛りを細かくすることなく、精度を高めることができる。
ダイヤルノギス
ダイヤルゲージと同様に測定する。読み取り精度0.01mm以上のものは一般的にダイヤルノギスか後述のデジタルノギスしか存在しない。
デジタルノギス
測定結果を数値で表示するノギス。表示部には主に7セグメントLCDが使用される。様々な測定方法が使用されるが、
- 絶対位置を測定するもの(アブソリュート)
- パルスを積算して相対位置を求めるもの(インクリメンタル)
に分けられる。
絶対位置を測定するものには静電容量式がある。これは主尺と移動部に取り付けられた2電極間の静電容量が重なっている電極の長さに比例することを利用する。誘電率が変化すると静電容量も変化するため、水・油・粉塵などが間に入ると正確な測定が出来ない。
インクリメンタル式には光学式・磁気式のものがあり、どちらも主尺にエッチングや磁化によって微小な目盛を記録し、その目盛分を移動したことを検出することで間接的に距離を求める。特に磁気式は汚れに強い。読み飛ばしが発生しないよう、ある速度以下で移動させる必要がある。
主な国内メーカー
日本のミツトヨは世界でもトップシェアで、次にスイスTESAが続く。
脚注
- ^ a b Daumas, Maurice, Scientific Instruments of the Seventeenth and Eighteenth Centuries and Their Makers, Portman Books, London 1989 ISBN 978-0-7134-0727-3
- ^ 1911 Encyclopaedia Britannica article on Navigation. Accessed April 2008
関連項目
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