収録
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
収録(しゅうろく)とは放送用語のひとつで、放送コンテンツを一旦録音・録画したあと編集を行い、その後電波・電話ケーブルなどの媒体で視聴者・聴取者に伝えるような放送手段を指す。
概要
近年のテレビ番組は、ニュース・ワイドショー・天気予報・スポーツ中継などといった、情報の速報性・正確性が求められる番組や「ライブ感」など生放送でなければ得られない効果が必要な番組を除けば、大半が収録で放送されている。
VTR機材や媒体が無かった・高価であった時代には生放送が主流であったが、録画・録音技術が進歩してくるに従い収録での放送も増加した。さらに近年では放送局・出演者のスケジュール調整やプライバシーの維持、視聴率低迷等により、生放送から収録に切り替えた番組も存在する。
なお収録による放送は、1950年代よりすでに実施されていた。当時はキネコおよび2インチVTRが主流であった。
番組の保存について
1970年代までの番組は、機材価格や著作権問題から映像を記録して保管する例が少なかったため、収録放送であっても全部または一部が現存しないケースも多い。
2インチVTRは1958年より日本で使用され始めたものの、機器は重厚長大であり、価格も維持費も非常に高額であった。テープに至っては、最初期はアメリカ合衆国からの輸入品しかなかった為に当時の価格で100万円以上、1964年に国産テープが発売された後も当時の価格で10万円以上(いずれも60分1巻の場合)と、これまた非常に高額であった。そのため、番組の保存よりも時間調整という意味合いが強く、テープの内容は放送終了後に消去され、他の番組収録に使い回されていた。
一方でドラマやドキュメンタリー等は、フィルムで収録されていた。フィルム収録は現像作業を要する、保管場所をとる、耐久性がビデオテープに比べて劣る等の弱点があったものの、当時はビデオテープと比べて比較的安価であり、編集もビデオテープより容易であった為、番組保存手段として広く使われていた。
1980年代に入り1インチVTRが放送業界に普及すると、ビデオテープの価格がフィルムより安くなったこともあって、ビデオテープによって番組を保存する体制が整い、大半の番組はVTR保存されるようになった。これと引き換えにフィルム収録は前述の欠点により次第に減少していった。